最近の詐欺事件というと、
メールやネットを介してひたすら匿名で、
どんな人が関わったか全く解らないという事も多くありますが、
昭和の時代にあった「豊田商事事件」は知れば知るほど大胆不敵。
1980年に大学初任給が114,500円の時代に
なんと被害総額は2000億円….
よくもここまでかき集めた、と思いますが
早坂 暁 の 優しい来訪者 という書籍には順を追ってどうしてここまで膨らんだかが詳しく描かれています。
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この詐欺事件でかき集められた金で豪華船上パーティーを行い、
詐欺被害をもてなしたという話も出てきます。
しかもその船上パーティーには
三波春夫、ジュディ・オング等誰もが知っている芸能人が多く出演します・・・。
詐欺被害発覚後、事情を聞かれた彼らは
「全ての講演を覚えているわけではない」との返答・・
そして、
「騙す側」の心理も描かれているのが必見です。
当時としては破格の給料、
そして顧客を得る事が出来ず、ノルマ達成のため
「タコが自分の足を食べるように」自分で金を出しノルマ達成に見せかけた者…
寂しい高齢者がどのように心を溶かされ、全財産を差し出すことになるのか・・・
あまり他人事と思わず、読んでみたほうがいいかもです。
ただ、だんだん被害者も増え、発覚してきて
最後の方は、強引に無理矢理はんこを押させたりとなりふり構わずになってきます。
被害者だけでなく、末端の社員の悲哀も感じ、
騙す側も因果応報があるんだなと思わされる一冊です。
詐欺事件というのは思わぬ日常にある落とし穴で、
こういう本を読んでシュミレーションをしておくのは決して無駄なことではないと思います。